平成25822

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完全子会社による完全親会社の吸収合併について

新聞報道等によると、株式会社マルハニチロホールディングス(以下、MNHD)とその完全子会社である株式会社マルハニチロ水産(以下、MN水産)、株式会社マルハニチロ畜産、株式会社マルハニチロマネジメント、株式会社マルハニチロ食品、完全孫会社である株式会社アクリフーズの計6社が吸収合併を行うとのことです。

ここで注目したいのは、完全子会社であるMN水産を存続会社(合併法人)、完全親会社であるMNHDを消滅会社(被合併法人)とする吸収合併である点です。他の3社の合併についてもMN水産を存続会社(合併法人)、他の3社を消滅会社(被合併法人)とされています。

なお、MNHDのプレスリリースによれば、MN水産を存続会社とする理由は、事業会社であるMN水産の各種許認可等を継続させる事など事業活動に関する様々な影響を最小限にするためとされています。

完全親会社を合併法人、完全子会社を被合併法人とする吸収合併が適格合併となるケースは頻繁に見受けられますが、それとは逆に、完全子会社を合併法人、完全親会社を被合併法人とする吸収合併については、適格合併となるのでしょうか。

当事者間の完全支配関係がある場合の合併の適格要件は、@合併法人と被合併法人との間にいずれか一方の法人による完全支配関係があること、A合併対価として合併法人株式(又は合併親法人株式)以外の資産が交付されないことの2つとなりますが(法法2十二の八イ、法令43A一)、完全子会社を合併法人、完全親会社を被合併法人とする吸収合併であっても、合併法人と被合併法人との間にいずれか一方の法人による完全支配関係(合併法人による完全支配関係に限定されません。)があることに相違ありませんので、完全子会社が合併対価として完全親会社の株主に完全子会社の株式のみを交付する場合には、その合併は適格合併となります。

 また、合併に係る受入れ処理については、完全親会社を合併法人、完全子会社を被合併法人とする吸収合併と基本的に異なるところはありませんが、被合併法人である完全親会社から承継する資産の中には、合併法人である完全子会社の株式(自己株式)も含まれることとなりますので、これについては、完全親会社におけるその株式の帳簿価額相当額分だけ完全子会社の資本金等の額を減少させることとなります(法令8@十八ロ)。