平成25419

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目 次

 

I 平成25年度税制改正の解説(事業再生関係). 1

1 一定の私的整理計画において債務免除等が行われる場合の資産の評価損益等の特例. 1

(1) 改正前の制度の概要. 1

(2) 改正の内容. 5

(3) 適用時期. 8

2 設立当初からの欠損金の損金算入制度. 9

(1) 改正前の制度の概要. 9

(2) 改正の内容. 11

(3) 適用時期. 12

3 債務処理計画に基づき資産を贈与した場合の課税の特例(創設)  13

(1) 新制度の内容. 13

(2) 適用時期. 14

4 特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は特別税額控除制度(創設). 16

(1) 新制度の内容. 16

(2) 適用時期. 17

II 平成25年度税制改正の解説(組織再編関係). 18

1 青色欠損金の繰越控除制度. 18

(1) 改正前の制度の概要. 18

(2) 改正の内容. 19

(3) 適用時期. 21

2 特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入制度. 22

(1) 改正前の制度の概要. 22

(2) 改正の内容. 23

(3) 適用時期. 24

 

 

 


I 平成25年度税制改正の解説(事業再生関係)

1 一定の私的整理計画において債務免除等が行われる場合の資産の評価損益等の特例

(1) 改正前の制度の概要

 一定の要件を満たす私的整理計画においては、民事再生等の法的整理の場合と同様に企業再生税制(資産の評価損益の計上及び期限切れ欠損金を含む設立当初からの欠損金の損金算入制度)の適用が認められています。

 

 資産の評価損益の計上

(イ) 内容

 再生計画認可の決定に準ずる事実が生じた場合においてその時の価額による資産評定を行っているときは、その評定による資産の評価損益の額は、その事実が生じた日の属する事業年度の損金の額又は益金の額に算入することとされています(法法25B、33C)。

 

(ロ) 再生計画認可の決定に準ずる事実

 上記(イ)の再生計画認可の決定に準ずる事実とは、私的整理におけるその債務処理に関する計画が次の@からCの要件又は@からB及びDの要件を満たすものであることとされています(法令242682)。

@ 一般に公表された債務処理を行うための手続についての準則(公正かつ適正なものと認められるものであって、次に掲げる事項が定められているものに限り、一定のものを除く。)に従って策定されていること。

 @ 債務者の有する資産及び負債の価額の評定(資産評定という。)に関する事項(公正な価額による旨の定めがあるものに限る。)

 A その計画がその準則に従って策定されたものであること並びにA及びBに掲げる要件に該当することにつき確認をする手続並びにその確認をする者に関する事項

A 債務者の有する資産及び負債につき@@に規定する事項に従って資産評定が行われ、その資産評定による価額を基礎としたその債務者の貸借対照表が作成されていること。

B Aの貸借対照表における資産及び負債の価額、その計画における損益の見込み等に基づいて債務者に対して債務免除等をする金額が定められていること。

C 2以上の金融機関等(次に掲げる者をいい、その計画に係る債務者に対する債権が投資事業有限責任組合契約等(いわゆるLPSLLPを指す。)に係る組合財産である場合におけるその投資事業有限責任組合契約等を締結している者を除く。)が債務免除等をすることが定められていること。

 @ 預金保険法に掲げる金融機関(協定銀行を除く。)

 A 農水産業協同組合貯金保険法に規定する農水産業協同組合

 B 保険業法に規定する保険会社及び外国保険会社等

 C 株式会社日本政策投資銀行

 D 信用保証協会

 E 地方公共団体(@からDまでに掲げる者のうちいずれかの者とともに債務免除等をするものに限る。)

D 政府関係金融機関(株式会社日本政策金融公庫、株式会社国際協力銀行及び沖縄振興開発金融公庫をいう。)、株式会社企業再生支援機構[1]又は協定銀行(これらのうちその計画に係る債務者に対する債権が投資事業有限責任組合契約等に係る組合財産である場合におけるその投資事業有限責任組合契約等を締結しているものを除く。)が有する債権その他一定の債権につき債務免除等をすることが定められていること。

 

(ハ) 再生計画認可の決定に準ずる事実の具体例

 上記(ロ)の要件を満たす合理的な再建計画としては、次の@ないしDの再建計画等が国税庁からの文書回答により認められています(平成175 11日付国税庁課税部長文書回答他)。

@ 私的整理に関するガイドライン及び同Q&Aに基づき策定された再建計画

A 中小企業再生支援協議会の支援による再生計画の策定手順(再生計画検討委員会が再生計画案の調査・報告を行う場合)に従って策定された再生計画

B RCC 企業再生スキームに基づき策定された再生計画

C 特定認証紛争解決手続に従って策定された事業再生計画(事業再生ADR

D 株式会社企業再生支援機構[2]が買取決定等を行った債権の債務者に係る事業再生計画

 

(ニ) 評価損益の計上の対象とならない資産

 次に掲げる資産は、この規定による資産の評価損益の計上ができないこととされています(法令242C、682B)。

@ 再生計画認可の決定に準ずる事実が生じた日の属する事業年度開始の日前5年以内に開始した各事業年度(前5年内事業年度等という。)において次に掲げる規定の適用を受けた減価償却資産(その減価償却資産が適格合併、適格分割、適格現物出資又は適格現物分配により被合併法人、分割法人、現物出資法人又は現物分配法人(被合併法人等という。)から移転を受けたものである場合には、被合併法人等の前5年内事業年度等において次に掲げる規定の適用を受けたものを含む。)

 @ 国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入

 A 特別勘定を設けた場合の国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入

 B 工事負担金で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入

 C 非出資組合が賦課金で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入

 D 保険金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入

 E 特別勘定を設けた場合の保険金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入

 F 個別益金額又は個別損金額の益金又は損金算入(@からEまでに掲げる規定により個別損金額を計算する場合に限る。)

 G 転廃業助成金等に係る課税の特例

A 短期売買商品の譲渡損益及び時価評価損益の益金又は損金算入の規定による短期売買商品

B 売買目的有価証券の評価益又は評価損の益金又は損金算入等の規定による売買目的有価証券

C 償還有価証券の帳簿価額の調整の規定による償還有価証券

D 少額資産

  資産を一定の単位に区分した後のそれぞれの資産の価額とその資産をその一定の単位に区分した後のそれぞれの資産の帳簿価額との差額[3]がその資産を有する内国法人の資本金等の額の2分の1に相当する金額と1,000万円(その内国法人の借入金その他の債務で利子の支払の基因となるもの(有利子負債)の額が10億円に満たない場合には、100万円)とのいずれか少ない金額に満たない場合のその資産

  なお、この判定の基礎となる資本金等の額は、再生計画認可の決定に準ずる事実が生じた時の直前の資本金等の額によることとされています(法基通4-1-9)。

  上記の一定の単位は、次のそれぞれに掲げる資産の区分に応じそれぞれに定めるところにより区分した後の単位とされています(法規86B)。

 @ 金銭債権

   一の債務者ごとに区分するものとされています。

 A 棚卸資産(@又はEに掲げるものを除く。)

   その内国法人の営む事業の種類ごとに、かつ、商品又は製品(副産物及び作業くずを除く。)、半製品、仕掛品(半成工事を含む。)、主要原材料及び補助原材料その他の棚卸資産の区分により区分するものとされています。

 B 減価償却資産である建物

   一棟(建物の区分所有等に関する法律の規定に該当する建物にあっては、建物の部分)ごとに区分するものとされています。

 C 減価償却資産である機械及び装置

   一の生産設備又は一台若しくは一基(通常一組又は一式をもって取引の単位とされるものにあっては、一組又は一式)ごとに区分するものとされています。

 D その他の減価償却資産

   B又はCに準じて区分するものとされています。

 E 土地等(土地及び土地の上に存する権利をいう。)

   土地等を一筆(一体として事業の用に供される一団の土地等にあっては、その一団の土地等)ごとに区分するものとされています。

 F 有価証券

   その銘柄の異なるごとに区分するものとされています。

 G その他の資産

  通常の取引の単位を基準として区分するものとされています。

 

 設立当初からの欠損金の損金算入制度

 私的整理計画において一定の債務免除等があった場合において、上記イ(ロ)の再生計画認可の決定に準ずる事実、又は、親子会社間において親会社が子会社に対して有する債権を単に免除するというようなものでなく、その債務免除等が多数の債権者によって協議の上決められる等、その決定について恣意性がなく、かつ、その内容に合理性があると認められるような事実があるときには、期限切れ欠損金を含む設立当初からの欠損金の損金算入制度の適用が認められています(法法59A、法令117、法基通12-3-1)。

 なお、上記の資産の評価損益を計上している場合には、「青色欠損金の繰越控除制度」(法法57)及び「災害損失欠損金の繰越控除制度」(法法58)よりも優先してこの規定の適用が認められています(この規定による損金算入額の計算方法等については、「設立当初からの欠損金の損金算入制度」(下記29頁)参照)。

 

(2) 改正の内容

 「中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律」の廃止に伴い、上記(1)及びロの規定に関して次の措置が講じられます。

 

 適用要件の拡大

 青色申告書を提出する中小企業者[4]について平成2541日から平成28331日までの間に再生計画認可の決定があったことに準ずる一定の事実[5]が生じた場合で、かつ、2以上の金融機関等が有するその中小企業者に対する債権が債務処理に関する計画によって特定投資事業有限責任組合契約[6]に係る組合財産となる場合において、その中小企業者が債務処理に関する計画に従って、資産評定をし、又は債務の免除を受けたときは、資産の評価損益の計上又は設立当初からの欠損金の損金算入制度の適用(評価損益の計上が行われる場合には青色欠損金等の繰越控除制度に対する優先適用)ができることとされています(新措法6752、新措令39282@)。

(参考)

 企業再生税制の適用がある私的整理は、「再生計画認可の決定に準ずる事実」に該当する必要があり(法法25B、33C、59A)、再生計画認可の決定に準ずる事実に該当するための要件の一つに、2以上の金融機関等(その計画に係る債務者に対する債権が投資事業有限責任組合契約等に係る組合財産である場合におけるその投資事業有限責任組合契約等を締結している者は除く。)が債務免除等をすること(又は政府関係金融機関等が債務免除等をすること)とされていました。

 例えば、メインバンク1行以外の金融機関が投資事業有限責任組合である再生ファンド等[7]に債権売却しているようなケースでは、メインバンク1行と再生ファンドによる債務免除等となり、2以上の金融機関等が債務免除等を行うことの要件を満たすことができなくなる等の問題が指摘されていました。

 評価損益対象資産の拡大

 資産の評価損益の計上について、評価損益の計上の対象とならない資産の範囲から少額資産(上記(1)イ(ニ)D(3頁)参照)が除外され、評価差額が1,000万円(有利子負債10億円未満の場合には100万円)未満の資産等であってもその評価損益が計上できることとされています(新法令242C)。

 また、評価損益の計上の対象とならない資産の範囲に少額の減価償却資産の取得価額の損金算入制度(新法令133)又は一括償却資産の損金算入制度(新法令1332)の適用を受けた減価償却資産その他これに類する減価償却資産を加えることとされています(新法令242C五)。

参考)

 企業再生税制における資産の評価損益の計上の対象とならない資産として少額資産が挙げられていました。企業によっては、含み損がある資産が少額資産に集中しているようなケースもあり、そうした場合には、評価損の計上ができないという問題が指摘されていました。

(3) 適用時期

 上記の改正は、平成2541日以後に再生計画認可の決定があったことに準ずる一定の事実が生ずる場合について適用されます(改正法附則70、改正法令附則3)。


2 設立当初からの欠損金の損金算入制度

(1) 改正前の制度の概要

 内国法人について再生手続開始の決定その他一定の事実があった場合において、下記@からBに掲げる場合に該当するときは、下記の損金算入限度額に達するまでの金額をその該当することとなった事業年度の損金の額に算入することとされています(法法59A、法令117)。

 

 設立当初からの欠損金を利用できる一定の場合

@ 再生手続開始又はこれに準ずる一定の事実が生じた時に一定の債権を有する者からその債権につき債務免除を受けた場合(デット・エクイティ・スワップにより債務が消滅した場合を含む。)

A 再生手続開始又はこれに準ずる一定の事実が生じたことに伴い役員等(役員又は株主)から私財提供を受けた場合

B 再生計画認可の決定又はこれに準ずる一定の事実が生じた(上記1(1)イ(ロ)1頁)参照)時にその時の価額による資産評定をして、それに基づき資産の評価損益を計上した場合

 なお、Bに該当しない場合には、青色欠損金等の繰越控除を適用した後にこの規定を適用し、Bに該当する場合には、この規定を適用した後に青色欠損金等の繰越控除を適用することとされています。

 

 損金算入限度額

 損金算入限度額の計算は、再生計画認可の決定時において資産評定を行いそれに基づき資産の評価損益を計上しているか否か(上記Bに該当するか否か)で異なります(法法59A、法令1172、法基通12-3-2)。

 次の(イ)及び(ロ)に掲げる場合の計算は、設立当初からの欠損金(下記(イ)及び(ロ)のA)のうち、課税所得の原因となりうる債務免除益等相当額(下記(イ)及び(ロ)の@)に達するまでの金額が損金算入されますが、その損金算入額は当期の所得金額(下記(イ)及び(ロ)のB)を超えることはできないという意味です。

 

(イ) 評価損益の計上がない場合

 次の@からBに掲げる金額のうち最も少ない金額が損金算入限度額とされています。

@ 債務免除額(消滅益を含む。)と私財提供された金銭その他の資産の価額の合計額(上記の@、Aの合計額)

A 繰越欠損金額(法人税の申告書の別表五(一)「T 期首現在利益積立金額」の差引合計額のマイナス記入された金額)から当期の繰越控除に利用された青色欠損金等の金額を控除した金額

B この規定を適用しないで計算した当期の所得金額(青色欠損金等の繰越控除適用後の所得金額)

 

(ロ) 評価損益の計上がある場合

 次の@からBに掲げる金額のうち最も少ない金額が損金算入限度額とされています。

@ 債務免除額(消滅益を含む。)と私財提供された金銭その他の資産の価額と評価益の益金算入額(評価損がある場合にはその金額を減算する。)の合計額(上記の@、A、Bの合計額)

A 繰越欠損金額(法人税の申告書の別表五(一)「T 期首現在利益積立金額」の差引合計額のマイナス記入された金額)

B 青色欠損金等の繰越控除及びこの規定を適用しないで計算した当期の所得金額

 

 設立当初からの欠損金の損金算入額(控除額)の内訳

 設立当初からの欠損金は、青色欠損金等の部分とそれ以外の期限切れ欠損金の部分から成りますが、この規定の適用により設立当初からの欠損金が控除された場合に、いずれの部分が控除されたかについては、次の(イ)及び(ロ)に掲げる場合の区分に応じて次のように規定されています(法法57D、58B、法令112H、116C)。

 

(イ) 評価損益の計上がない場合

 青色欠損金等(当期における青色欠損金等の繰越控除で控除されていない青色欠損金等)の部分から先に控除されたものとされ、次いで期限切れ欠損金の部分が控除されたものとされます。

 なお、この規定の適用により控除されたものとされた青色欠損金等は、翌期以降に繰り越すことはできません。

 

(ロ) 評価損益の計上がある場合

 期限切れ欠損金の部分から先に控除されたものとされ、次いで青色欠損金等の部分が控除されたものとされます。

 なお、この規定の適用により控除されたものとされた青色欠損金等は、当期における青色欠損金等の繰越控除で控除することはできず、また、翌期以降に繰り越すこともできません。

 

(2) 改正の内容

 青色欠損金等の繰越控除制度の適用後に設立当初からの欠損金の損金算入制度を適用する場合について、青色欠損金等の控除前の所得金額が債務免除益等相当額を超える場合における損金算入額は、青色欠損金等の控除後の所得金額からその超える部分の金額の20%相当額を減算した金額が限度とされています(新法法59A)。ただし、中小法人等については、現行どおりとされています(新法法59A)。

(参考)

 平成2312月の税制改正において、法人税率の引下げに伴う課税ベースの拡大措置の一環として、青色欠損金等の繰越控除制度については、中小法人等を除き、青色欠損金等の控除前の所得金額の80%相当額を上限とする制限措置が導入されました(法法57@J、58@E)。

 しかしながら、青色欠損金等の繰越控除の適用後に設立当初からの欠損金の損金算入制度を適用する場合(期限切れ欠損金を青色欠損金等に劣後して控除する場合)には、控除限度額(控除前の所得金額の80%相当額)を超えるために青色欠損金等の繰越控除による控除ができなかった部分を含めて設立当初からの欠損金として控除することができるため、青色欠損金等の繰越控除より優先して設立当初からの欠損金の損金算入制度を適用する場合(期限切れ欠損金を青色欠損金等に優先して控除する場合)と比較して最終的な所得金額に差異が生ずるという問題点が指摘されていました。

(3) 適用時期

 上記の改正は、平成2541日以後に再生手続開始の決定その他一定の事実が生ずる場合について適用されます(改正法附則9)。


3 債務処理計画に基づき資産を贈与した場合の課税の特例(創設

(1) 新制度の内容

 中小企業者[8]に該当する内国法人の取締役又は業務を執行する社員である個人でその内国法人の債務の保証に係る保証債務を有するものが、その個人の有する資産(有価証券を除く。)でその資産に設定された賃借権、使用貸借権その他資産の使用又は収益を目的とする権利が現にその内国法人の事業の用に供されているもの[9]を、その内国法人について策定された債務処理計画[10]に基づき、平成254月1日から平成28331日までの間にその内国法人に贈与した場合には、次に掲げる要件を満たしているときに限り、その贈与によるみなし譲渡課税(新所法59@一)を適用しないこととされています(新措法4032@)

@ その個人が、その債務処理計画に基づき、その内国法人の債務の保証に係る保証債務の一部を履行していること。

A その債務処理計画に基づいて行われたその内国法人に対する資産の贈与及び保証債務の一部の履行後においても、その個人がその内国法人の債務の保証に係る保証債務を有していることが、その債務処理計画において見込まれていること。

B その内国法人が、その資産の贈与を受けた後に、その資産をその事業の用に供することがその債務処理計画において定められていること。

 なお、この制度は、確定申告書にこの制度の適用を受ける旨の記載があり、かつ贈与をした資産の種類その他一定の事項を記載した書類及びその贈与が上記@からBに掲げる要件を満たして行われた旨その他一定の事項を証する書類の添付がある場合に限り、適用することとされています(新措法4032A、新措規18192@A)。

 

(2) 適用時期

 上記の改正は、平成25年分以後の所得税について適用されます(改正法附則18、改正措令附則1、改正措規附則1)。

 

 

(金融庁資料より)

(参考)

 現在、再生企業の債務に係る個人保証人が保証債務の履行のために資産の譲渡をして、その履行に伴う求償権の行使が不能になった場合には、その資産の譲渡益に係る所得税が非課税となる措置が設けられている(所法64A)。

 また、国税庁から個別照会事例として公表されている平成21116日付「株式会社企業再生支援機構[11]が買取決定等を行った債権の債務者に係る事業再生計画に基づき債権放棄等が行われた場合の税務上の取扱いについて」では、保証債務を履行するための資産の譲渡に関する次の照会に対して、その考え方を容認する旨の回答がされている。


株式会社企業再生支援機構が買取決定等を行った債権の債務者に係る事業再生計画に基づき債権放棄等が行われた場合の税務上の取扱いについて(一部抜粋)

(保証債務の特例)

 合理的な事業再生計画が策定される際には、当該事業再生計画において支援対象者の代表者等の個人に私財提供を求めることがあります。具体的には、代表者等が支援対象者に貸し付けている個人所有の資産(以下「事業用資産」といいます。)を、当該支援対象者の機構法上の金融機関等[12]からの借入金の担保に供している場合において、@代表者等が当該事業用資産を担保権負担付のまま当該支援対象者に担保権負担がないものとして算定した適正な時価により有償で譲渡するときに、代表者等は受け取った譲渡代金により、債務超過である当該支援対象者の保証債務を履行する、あるいは、A代表者等が機構法上の金融機関等に対して当該事業用資産による代物弁済を行うことにより、債務超過である当該支援対象者の保証債務を履行します。

 この場合、機構[13]が関与して策定された合理的な事業再生計画に基づき、再生支援が行われることを前提とすれば、代表者等が保証債務の履行により取得した求償権を書面によって放棄した場合であっても、当該支援対象者が求償権の放棄を受けた後においてもなお債務超過の状況にあるときは、原則として求償権の行使は不能であり、代表者等の課税関係においては所得税法第64条第2項《資産の譲渡代金が回収不能となった場合等の所得計算の特例》の規定による保証債務の特例の適用があると考えられます。

 しかし、再生企業の保証人となっている経営者等が再生企業に対して私財提供をした場合や第三者に売却してその売却代金を再生企業に対して私財提供したような場合には、こうした措置がなく、資産の譲渡益に課税がされるという問題が指摘されていた。


4 特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は特別税額控除制度(創設)

(1) 新制度の内容

 経営改善に関する指導及び助言[14]を受けた旨を明らかにする書類[15]の交付を受けた中小企業者[16]又は中小企業等協同組合等[17]で、青色申告書を提出するもの(特定中小企業者等という。)が、平成2541日から平成27331日までの間に、その指導及び助言を受けて行う店舗の改修等に伴い、経営改善設備に該当する器具備品及び建物附属設備[18]の取得等をして指定事業[19]の用に供した場合には、その取得価額の30%相当額の特別償却とその取得価額の7%相当額の特別税額控除(当期の法人税の額の20%を限度とし、控除限度超過額は1年間の繰越しができる。)との選択適用ができることとされています(新措法42123@〜C)。

 ただし、特別税額控除の適用対象法人は、特定中小企業者等のうち、資本金の額等が3,000万円以下の中小企業者又は中小企業等協同組合等に限ることとされています(新措令27123D)。

 なお、この制度の適用を受ける場合には、これらの規定の適用を受ける事業年度の確定申告書等に器具備品及び建物附属設備が経営改善設備に該当するものであることを証する一定の書類を添付しなければならないこととされています(新措令27123F、新措規208C)。

 

(2) 適用時期

 上記の改正は、平成2541日以後に取得等する経営改善設備に該当する器具備品及び建物付属設備について適用されます(改正法附則66、改正措令附則14、改正措規附則1)。

 


II 平成25年度税制改正の解説(組織再編関係)

1 青色欠損金の繰越控除制度

(1) 改正前の制度の概要

 被合併法人等の繰越欠損金額の引継ぎ及び引継ぎの制限

(イ) 適格合併の場合の繰越欠損金額の引継ぎ

 適格合併が行われた場合において、被合併法人の適格合併の日前9年以内に開始した各事業年度において生じた欠損金額で控除されずに繰り越されてきたもの(未処理欠損金額)があるときは、その未処理欠損金額が生じた被合併法人の事業年度に対応する合併法人の事業年度において生じた欠損金額とみなすこととされています(法法57A)。つまり被合併法人の未処理欠損金額を合併法人が引き継ぐこととなります。

 

(ロ) 残余財産が確定した場合の繰越欠損金額の引継ぎ

 内国法人(株主等法人という。以下、(ハ)において同じ。)との間に完全支配関係(その株主等法人による完全支配関係または一の者との間に当事者間の完全支配関係がある法人相互の関係に限る。)がある他の内国法人でその株主等法人が発行済株式等の全部若しくは一部を有するものの残余財産が確定した場合において、当該他の内国法人(残余財産確定法人という。以下、(ハ)において同じ。)の残余財産の確定の日の翌日前9年以内に開始した各事業年度(前9年内事業年度)において生じた欠損金額で控除されずに繰り越されてきたもの(未処理欠損金額)があるときは、その株主等法人のその残余財産の確定の日の翌日の属する事業年度以後の各事業年度における欠損金の繰越控除の適用については、その前9年内事業年度において生じた未処理欠損金額(その残余財産確定法人に株主等が二以上ある場合には、その未処理欠損金額を出資比率で按分する。)は、その株主等法人が引き継ぐこととされています(法法57A)。

 

(ハ) 繰越欠損金額の引継ぎの制限

 合併法人及び株主等法人(合併法人等)と被合併法人及び残余財産確定法人(被合併法人等)との間に支配関係(直接又は間接に50%超の資本関係がある一定の関係をいう。以下同じ。)がある場合には、その支配関係が適格合併の日若しくは残余財産の確定の日の翌日の属する事業年度開始の日の5年前の日及び合併法人等若しくは被合併法人等の設立の日のうち最も遅い日から継続している場合又はその適格合併がみなし共同事業要件を満たす場合を除き、以下のように繰越欠損金額の引継ぎの制限が課されています(法法57B、法令112D)。

@ 支配関係が生じた日(支配関係発生日)の属する事業年度(支配関係事業年度)前の各事業年度の未処理欠損金額

 ……これらの未処理欠損金額は、一切引き継ぐことができません。

A 支配関係事業年度以後の各事業年度の未処理欠損金額

 ……これらの未処理欠損金額のうち特定資産の譲渡等損失額(支配関係発生日において有する一定の資産の譲渡等により生じた損失の金額をいう。以下同じ。)に相当する金額から成る部分の金額は、引き継ぐことができません。

 

 繰越欠損金額の利用制限

 内国法人と支配関係がある法人(支配関係法人)との間でその内国法人を合併法人、分割承継法人、被現物出資法人、被現物分配法人(合併法人等)とする適格合併、非適格合併で譲渡損益が繰り延べられるもの、適格分割、適格現物出資及び適格現物分配(適格組織再編成等)が行われた場合には、その支配関係が合併法人等の適格組織再編成等の日(その適格組織再編成等が残余財産の全部の分配である場合には残余財産の確定の日の翌日)の属する事業年度開始の日の5年前の日及び合併法人等若しくは支配関係法人の設立の日のうち最も遅い日から継続している場合又はその適格組織再編成等がみなし共同事業要件を満たす場合を除き、合併法人等の有する繰越欠損金額につき以下のような利用制限が課されています(法法57C、法令112G)。

@ 支配関係が生じた日(支配関係発生日)の属する事業年度(支配関係事業年度)前の各事業年度において生じた欠損金額

 ……これらの欠損金額は、全てないものとされます。

A 支配関係事業年度以後の各事業年度において生じた欠損金額

 ……これらの欠損金額のうち特定資産の譲渡等損失額に相当する金額から成る部分の金額は、ないものとされます。

 

(2) 改正の内容

 青色欠損金の繰越控除制度における繰越欠損金額の引継ぎの制限及び利用制限について、次の見直しが行われています。

@ 上記(1)イ(ハ)の被合併法人等に係る適格合併の日又は残余財産確定の日以前2年以内にその被合併法人等を合併法人、分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人とし、特定支配関係法人[20]を被合併法人、分割法人、現物出資法人又は現物分配法人とする一又は二以上の特定適格組織再編成等[21]が行われていた場合において、その一又は二以上の特定適格組織再編成等により移転があった一定の資産のうちその被合併法人等が有することとなったものは、その被合併法人等が上記(1)イ(ハ)Aの支配関係発生日において有するものとみなして、上記(1)イ(ハ)の規定により引継ぎが制限されるその被合併法人等の欠損金を計算することとされています(新法令112E)。

A 上記(1)の合併法人等に係る適格組織再編成等の日以前2年以内にその合併法人等を合併法人、分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人とし、特定支配関係法人[22]を被合併法人、分割法人、現物出資法人又は現物分配法人とする一又は二以上の特定適格組織再編成等が行われていた場合において、その一又は二以上の特定適格組織再編成等により移転があった一定の資産のうちその合併法人等が有することとなったものは、その合併法人等が上記(1)Aの支配関係発生日において有するものとみなして、上記(1)の規定によりないものとされるその合併法人等の欠損金を計算することとされています(新法令112EJ)。

B 上記(1)イ(ハ)の被合併法人等に係る適格合併の日又は残余財産確定の日以前2年以内に特定支配関係法人[23]を被合併法人とし、その被合併法人等を合併法人とする一又は二以上の適格合併が行われていた場合等において、上記(1)イ(イ)の規定によりその被合併法人等の各事業年度において生じた欠損金額とみなされたもののうちに、各特定支配関係法人において特定資産の譲渡等損失額に相当する一定の欠損金額があるときは、その金額は上記(1)イ(ハ)Aの特定資産の譲渡等損失額に相当する金額から成る部分の金額に加算することとされています(新法令112F)。

C 上記(1)の合併法人等に係る適格組織再編成等の日以前2年以内に特定支配関係法人[24]を被合併法人とし、その合併法人等を合併法人とする一又は二以上の適格合併が行われていた場合等において、上記(1)イ(イ)の規定によりその合併法人等の各事業年度において生じた欠損金額とみなされたもののうちに、各特定支配関係法人において特定資産の譲渡等損失額に相当する一定の欠損金額があるときは、その金額は上記(1)Aの特定資産の譲渡等損失額に相当する金額から成る部分の金額に加算することとされています(新法令112FJ)。

 

(参考)

 ある法人(買収法人)が他の法人グループをグループごと買収した場合において、そのグループ内の法人において買収後に発生した欠損金(買収後に実現させた資産の含み損の損失)を買収法人が直接に適格合併等により引き継ぐ場合には、欠損金の引継制限の対象となる一方、そのグループ内の他の法人が適格合併等により引き継いだ後にさらに買収法人が適格合併等により引き継ぐ場合には、欠損金の引継制限の対象とならないという問題点が指摘されていました。

 

 

(3) 適用時期

 上記(2)@及びBの改正は、上記(1)イ(ハ)の合併法人と平成2541日以後にその合併法人と最後に支配関係があることとなった上記(1)イ(ハ)の被合併法人との間で行われる適格合併又は上記(1)イ(ハ)の株主等法人と平成2541日以後にその株主等法人と最後に支配関係があることとなった上記(1)イ(ハ)の残余財産確定法人の残余財産の確定について適用されます(改正法令附則5@)。

 上記(2)A及びCの改正は、上記(1)の合併法人等と平成2541日以後にその合併法人等との間に最後に支配関係があることとなった上記(1)の支配関係法人との間で行われる適格組織再編成等について適用されます(改正法令附則5A)。


2 特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入制度

(1) 改正前の制度の概要

 適用要件

 内国法人と支配関係がある法人(支配関係法人という。以下同じ。)との間で、その内国法人を合併法人、分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人(合併法人等という。以下同じ。)とする適格合併、非適格合併で譲渡損益が繰り延べられるもの、適格分割、適格現物出資のうちみなし共同事業要件を満たさないもの及び適格現物分配(特定適格組織再編成等という。以下同じ。)が行われた場合には、その支配関係がその合併法人等の特定適格組織再編成等の日(その特定適格組織再編成等が残余財産の全部の分配である場合には残余財産の確定の日の翌日)の属する事業年度(特定組織再編成事業年度)開始の日の5年前の日及び合併法人等若しくは支配関係法人の設立の日のうち最も遅い日から継続している場合を除き、適用期間(特定組織再編成事業年度開始の日から同日以後3年を経過する日(その経過する日が支配関係の生じた日以後5年を経過する日後となる場合には、その5年を経過する日)までの期間をいう。)において生じた特定資産譲渡等損失額は、損金の額に算入しないこととされています(法法627@)。

 なお、合併法人等又は支配関係法人の設立時から継続して支配関係がある場合であっても、その特定適格組織再編成等前に同じ支配グループにある他の法人と適格合併等を行っていた場合その他一定の場合には、特定資産譲渡等損失額の損金不算入措置の対象とされています(法令1238@二)。

 

 特定資産譲渡等損失額

(イ) 特定資産譲渡等損失額

 特定資産譲渡等損失額とは、次に掲げる金額の合計額をいいます(法法627 A)。

@ 合併法人等が支配関係法人から特定適格組織再編成等により移転を受けた資産で支配関係法人が支配関係が生じた日(支配関係発生日という。以下同じ。)前から有していたもの(特定引継資産という。以下同じ。)の譲渡、評価換え、貸倒れ、除却その他これらに類する事由(災害による滅失や損壊、一定の法的整理や私的整理の手続中において生じたものや適正に減価償却を行ってきた減価償却資産の除却その他一定のものは含まれない。下記のAにおいても同様。)による損失の額の合計額から特定引継資産の譲渡または評価換えによる利益の額の合計額を控除した金額

A 合併法人等が支配関係発生日前から有していた資産(特定保有資産という。以下同じ。)の譲渡、評価換え、貸倒れ、除却その他これらに類する事由による損失の額の合計額から特定保有資産の譲渡又は評価換えによる利益の額の合計額を控除した金額

 

(ロ) 特定資産から除外されるもの

 次の資産は、特定引継資産及び特定保有資産から除外されます(法令1238B)。

@ 棚卸資産(土地等を除く。)

A 短期売買商品(法法61

  短期売買商品とは、短期的な市場価格の変動により利益をあげることを目的として保有する資産(金、銀やプラチナ等)のうち一定のものをいいます。

B 売買目的有価証券(法法613

C 少額資産

  これは、特定適格組織再編成等の日における帳簿価額又は取得価額(資産を一定の単位(例えば土地であれば1筆の土地又は1団の土地、建物であれば1棟の建物、機械装置であれば1台等となる。)に区分した後のそれぞれの資産の帳簿価額又は取得価額をいう。)が1,000万円に満たない資産をいいます。

D 支配関係発生日における価額がその支配関係発生日における帳簿価額を下回っていない資産(合併法人等の特定適格組織再編成等の日の属する事業年度の確定申告書に、支配関係発生日におけるその資産の価額及びその帳簿価額に関する明細書の添付があり、かつ、その資産に係る支配関係発生日の価額の算定の基礎となる事項を記載した書類その他の財務省令で定める書類を保存している場合におけるその資産に限る。)

 

(2) 改正の内容

 特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入制度について、次の見直しが行われています。

@ 合併法人等が特定適格組織再編成等により移転を受けた資産のうちに、その特定適格組織再編成等の日以前2年以内に行われた一又は二以上の前特定適格組織再編成等[25]により移転があった一定の資産で関連法人のいずれかが関連法人支配関係発生日[26]前から有していたものがある場合には、その資産は、その支配関係法人が支配関係発生日前から有していたものとみなして、特定資産譲渡等損失額を計算することとされています(新法令1238K)。

A 合併法人等が特定適格組織再編成等の直前の時において有する資産のうちに、その特定適格組織再編成等の日以前2年以内に行われた一又は二以上の前特定適格組織再編成等[27]により移転があった一定の資産で関連法人のいずれかが関連法人支配関係発生日前から有していたものがある場合には、その資産は、その合併法人等が支配関係発生日前から有していたものとみなして、特定資産譲渡等損失額を計算することとされています(新法令1238KN)。

 

(参考)

 ある法人(買収法人)が他の法人グループをグループごと買収した場合において、そのグループ内の法人が有していた資産を買収法人が直接に適格合併等により引き継ぐ場合には、特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入制度の対象となる一方、そのグループ内の他の法人が適格合併等により引き継いだ後にさらに買収法人が適格合併等により引き継ぐ場合には、同制度の対象とならないという問題点が指摘されていました。

(3) 適用時期

 上記の改正は、合併法人等と平成2541日以後にその合併法人等との間に最後に支配関係があることとなった支配関係法人との間で行われる特定適格組織再編成等について適用されます(改正法令附則6)。

 



[1]

 「株式会社企業再生支援機構法の一部を改正する法律」(平成2536日公布、同年318日施行)により株式会社地域経済活性化支援機構に改組されている。
 なお、平成25318日からの改組に伴い同機構を貸倒引当金制度及び企業再生税制の対象とする改正が行われている(新法法33C、52@A、59A、新法令242@一、五、96C十三、新法規86@A、「株式会社企業再生支援機構法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備及び経過措置に関する政令」附則1)。

[2]

 上記脚注1参照。

[3]

 5年内事業年度等において上記@@からGまでに掲げる規定の適用を受けた固定資産(上記@に規定する減価償却資産を除く。)で、その価額がその帳簿価額を超えるものについては、その前5年内事業年度等において上記@@からGまでに掲げる規定により損金の額に算入された金額とその超える部分の金額とのいずれか少ない金額を控除した金額とする。

[4]

 中小企業者とは、資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人のうち、同一の大規模法人(資本金の額又は出資金の額が1億円を超える法人等)に発行済株式若しくは出資の総数若しくは総額の2 分の1 以上を所有されている法人及び2以上の大規模法人にその発行済株式若しくは出資の総数若しくは総額の3 分の2 以上を所有されている法人以外の法人をいい、資本若しくは出資を有しない法人の場合には、常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人をいう(新措法424K五、新措令274I)。

[5]

 上記I1(1)イ(ロ)1頁)参照。

[6]

 特定投資事業有限責任組合契約とは、中小企業者の事業の再生に著しく寄与する契約として中小企業の事業の再生を支援することを目的とするものであることその他の中小企業に対する金融の円滑化を図ることによりその事業の再生を支援するための基準として内閣総理大臣及び経済産業大臣が定める基準に適合するものとして内閣総理大臣及び経済産業大臣が指定する投資事業有限責任組合契約をいう(新措法6752A三、新措令39282BE、「租税特別措置法施行令第三十九条の二十八の二第三項及び第六項の規定に基づき内閣総理大臣及び経済産業大臣が定める特定投資事業有限責任組合契約の指定に関する基準を定める件」(内閣府経済産業省告示第二号))。

[7]

 「中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律」の廃止に伴い、各地における中小企業の事業再生支援を行うために再生ファンド等を設立する動きが活発になっている(中小企業庁HPhttp://www.chusho.meti.go.jp/keiei/saisei/index.html)。

[8]

 上記脚注45頁)参照。

[9]

 その資産又は権利でその内国法人の事業の用及びその内国法人の事業の用以外の用に供されているもののにあっては、次の@及びAに掲げる権利の区分に応じ、それぞれに定める金額に相当する部分とする(新措令25182@)。
@ 土地の上に存する権利又は建物及びその附属設備若しくは構築物(建物等という。)の賃借権、使用貸借権その他建物等の使用又は収益を目的とする権利
  その土地又は建物等の価額に相当する金額に、その土地又は建物等の面積又は床面積のうちに占めるその内国法人の事業の用に供されている権利が設定されている部分の面積又は床面積の割合を乗じて計算した金額
A 工業所有権その他の資産の使用又は収益を目的とする権利(上記@に掲げるものを除く。)
  その工業所有権その他の資産の価額に相当する金額に、個人が収入すべきその工業所有権の使用料の総額のうちに占めるその内国法人から収入すべき使用料の額の割合その他権利の種類及び性質に照らして合理的と認められる基準により算出したその内国法人の事業の用に供されている割合を乗じて計算した金額

[10]

 債務処理計画とは、債務処理に関する計画で一般に公表された債務処理を行うための手続に関する準則に基づき策定されていることその他の法人税法施行令24条の21項に定める要件(上記I1(1)イ(ロ)1頁)参照)を満たすものをいう(新措令25182A)。

[11]

 上記脚注12頁)参照。

[12]

 機構法上の金融機関等とは、いわゆる普通の銀行、商工組合中央金庫、日本政策投資銀行、整理回収機構、信用保証協会等をいう。

[13]

 機構とは、株式会社企業再生支援機構(現株式会社地域経済活性化支援機構)をいう。

[14]

 経営改善に関する指導及び助言とは、「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律」172項に規定する認定経営革新等支援機関、商工会議所等(新措令27123@H、「租税特別措置法施行令第五条の六の三第一項及び第二十七条の十二の三第一項の規定に基づく、厚生労働大臣、農林水産大臣及び経済産業大臣が財務大臣と協議して指定する法人を指定する件」(厚生労働省農林水産省経済産業省告示第一号))による法人の経営改善及びこれに必要な設備投資等に係る指導及び助言をいう。

[15]

 指導及び助言の内容、その指導及び助言に基づき、その指導及び助言を受けた法人が取得等した器具備品及び建物附属設備の明細その他一定の事項を記載した書類をいう(新措規208@)。

[16]

 上記脚注45頁)参照。

[17]

 中小企業等協同組合等とは、中小企業等協同組合(中小企業団体中央会に該当するものを除く。)、出資組合である商工組合、商店街振興組合、農業協同組合、漁業協同組合及び森林組合をいう(新措令27123A)

[18]

 経営改善設備に該当する器具備品及び建物附属設備とは、器具備品にあっては、1台又は1基の取得価額が30万円以上のものとし、建物附属設備にあっては、一の取得価額が60万円以上のものとする(新措令27123B)。

[19]

 指定事業とは、卸売業、小売業、農業、林業、漁業、水産養殖業、サービス業等(これらのうち性風俗関連特殊営業及び風俗営業に該当する一定の事業を除く。)をいう(新措令27123C、新措規208AB)。

[20]

 ここでいう特定支配関係法人とは、上記(1)()の合併法人等及びその被合併法人等との間に支配関係がある法人をいう。

[21]

 特定適格組織再編成等とは、適格合併、非適格合併で譲渡損益が繰り延べられるもの、適格分割、適格現物出資のうち、みなし共同事業要件を満たさないもの及び適格現物分配をいう。

[22]

 ここでいう特定支配関係法人とは、上記(1)ロの合併法人等及び上記(1)ロの支配関係法人との間に支配関係がある法人をいう。

[23]

 上記脚注2019頁)と同様。

[24]

 上記脚注22と同様。

[25]

 ここでいう前特定適格組織再編成等とは、その特定組織再編成等の前に行われる特定適格組織再編成等で、関連法人(合併法人等及び支配関係法人との間に支配関係がある法人をいう。以下同じ。)を被合併法人、分割法人、現物出資法人又は現物分配法人とし、支配関係法人又は他の関連法人を合併法人、分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人とするものをいう。

[26]

 関連法人支配関係発生日とは、合併法人等及び支配関係法人と関連法人との間に最後に支配関係があることとなった日をいう。

[27]

 ここでいう前特定適格組織再編成等とは、その特定組織再編成等の前に行われる特定適格組織再編成等で、関連法人を被合併法人、分割法人、現物出資法人又は現物分配法人とし、その合併法人等又は他の関連法人を合併法人、分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人とするものをいう。