平成25426

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事業再生に資する銀行法(5%ルール)改正

 

平成25416日に今通常国会に提出された金融商品取引法等の一部を改正する法律案では、銀行法の改正が予定されており、銀行等による議決権保有規制(いわゆる5%ルール)の緩和が盛り込まれています。

 

銀行法上の5%ルールとは、銀行業務の健全性を確保するためのルールであり(銀行法1)、銀行とその子会社が国内の一般事業会社の議決権を合算して5%を超えて保有することが原則禁止されています(銀行法1631)。

 ただし例外として、合理的な経営改善計画に基づくDES(デット・エクイティ・スワップ)の場合には、銀行等は最長1年間、100%まで議決権を保有することができ、5%を超える部分の議決権を遅くとも経営改善計画終了後速やかに処分することを条件に内閣総理大臣の承認を受けた場合には、1 年を超えて50%まで議決権を保有することができます(銀行法1632項、3、同施行規則17条の613号、中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針V48)。

 また、銀行等の投資専門子会社を通じた場合には、一定のベンチャービジネス会社や一定の事業再生会社の議決権を最長10年間、100%まで保有することができます(銀行法16条の37項、同施行規則17条の26項〜8項)。

 

改正法案や金融庁資料によれば、今回の改正では、5%ルールの原則的な取扱いは変わりませんが、銀行等が取引先会社を資本面で支援し再生を手助けすることを目的として、例外的な取扱いの適用範囲が拡大され、合理的な経営改善計画に基づくDESの場合には、保有期間が3年間(中小企業の場合は5年間)に延長されるとともに、投資専門子会社を通じていなくても、最長3年間(中小企業の場合は最長5年間)は一定の事業再生会社の議決権を100%まで保有することができるようになります。

ただし、DESの場合には会社更生、民事再生、特定調停等の裁判所が関与する案件又は事業再生ADR案件に、一定の事業再生会社の議決権の保有については裁判所が関与する案件に限られるようです。また、投資専門子会社を通じた保有についても、一定のベンチャービジネス会社の議決権の保有期間が15年間に延長されるとともに、地域の面的再生(再活性化)に資すると認められる一定の事業会社も適用対象に加えられています。

(金融庁資料より)