平成24112

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重ローン救済法に関連する平成24年度税制改正事項

 

東日本大震災による二重ローン債務者を救済するための「株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法」、いわゆる二重ローン救済法が議員立法で成立公布されたことは、平成23年11月30日の記事でご紹介しましたが、昨年末に公表された「平成24年度税制改正大綱」において、この件に関連して次のような税制上の措置が盛り込まれています。

 

(平成24年度税制改正大綱 第33(4) 復興支援措置より抜粋)

A 二重ローン対策

  イ 貸倒引当金制度について、その適用を受けることができる法人に、株式会社東日本大震災事業者再生支援機構を追加します。

  ロ 東日本大震災により被害を受けた法人が、株式会社東日本大震災事業者再生支援機構又は産業復興機構から当該法人に対する債権につき債務の免除を受けた場合には、期限切れ欠損金の損金算入をできることとします。

 

平成23年度税制改正(二次改正)において、貸倒引当金の適用法人について制限が設けられましたが(平成23年12月12日の記事を参照)、株式会社東日本大震災事業者再生支援機構は、貸倒引当金の適用法人に加えられることとなります。

また、株式会社東日本大震災事業者再生支援機構又は産業復興機構から債務免除を受ける債務者法人については、法的整理等において債務免除を受ける場合と同様に期限切れ欠損金を利用して債務免除益による課税が生じないように手当てされることとなります。

ちなみに、産業復興機構は、投資事業有限責任組合の仕組みを使って組成される法人格のない組織(任意組合等)であり、産業復興機構そのものに法人税の申告納税の義務はないため、貸倒引当金の適用法人とはされません。したがって、産業復興機構が保有する金銭債権について貸倒引当金を繰り入れることができるかどうかは、その産業復興機構である投資事業有限責任組合の組合員が貸倒引当金の適用法人であるか等により決まるものと思われます。

なお、任意組合等に係る損益の帰属や引当金の繰入等については、法人税基本通達14-1-1〜14-1-2、法人税関係個別通達「中小企業等投資事業有限責任組合契約に係る税務上の取扱いについて」等においてその取扱いが定められています。